以下は疑問に思ったことの雑記です。実際に使用される場合は信頼のおけるものを第一に参考にしましょう。
心室頻拍と完全房室ブロックははどちらもP波とQRS波が独立したリズムで現れるという形で書かれていることが多く、それぞれをどう見比べるとよいか混乱していました。
ですが、心室頻拍と完全房室ブロックは、どちらも心拍数が速くなる(頻脈性)不整脈ですが、心電図の特徴は大きく異なります。
心室頻拍
心室頻拍は、心室から発する異常な電気信号によって、心室が速く収縮する不整脈です。心電図では、以下の特徴があります。
- 心拍数は、100~250回/分程度です。
- QRS波の幅は、0.12秒以上と、洞調律時のQRS波よりも広く、形も異なります。
- P波は、QRS波に重なって見えません。
完全房室ブロック
完全房室ブロックは、房室結節と心室の間の伝導が完全に阻害される不整脈です。心電図では、以下の特徴があります。
- P波は、洞調律時と同じ形で、一定の間隔で出現します。
- QRS波は、心房の収縮に関係なく、一定の間隔で出現します。
- P波とQRS波のタイミングは、不規則です。
心室頻拍と完全房室ブロックの見分け方
心室頻拍と完全房室ブロックの見分け方は、以下の3つのポイントに注意します。
- 心拍数
心室頻拍では、心拍数は100~250回/分程度ですが、完全房室ブロックでは、心房の収縮と心室の収縮が完全に分離するため、心拍数は心房の収縮数と心室の収縮数が異なる場合があり、不規則になります。
- QRS波の幅
心室頻拍では、QRS波の幅は0.12秒以上と、洞調律時のQRS波よりも広く、形も異なります。一方、完全房室ブロックでは、QRS波の幅は洞調律時のQRS波と同じか、それよりも狭くなる場合があります。
- P波とQRS波のタイミング
心室頻拍では、P波とQRS波は、必ず重なって見えます。一方、完全房室ブロックでは、P波とQRS波のタイミングは、不規則になります。
これらのポイントを踏まえて、心電図を解析することで、心室頻拍と完全房室ブロックを区別することができます。
まとめ
心室頻拍と完全房室ブロックは、どちらも心拍数が速くなる(頻脈性)不整脈ですが、心電図の特徴は大きく異なります。心室頻拍では、心拍数は100~250回/分程度、QRS波の幅は0.12秒以上、P波とQRS波は必ず重なって見えます。一方、完全房室ブロックでは、心拍数は不規則、QRS波の幅は洞調律時と同じかそれよりも狭くなる場合があり、P波とQRS波のタイミングは不規則になります。

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